放射線物理学 A. 種類と性質クエスト
北島先生からの挑戦状
電離放射線・非電離放射線、直接電離・間接電離、電磁波、粒子放射線、スペクトル、光子計算、相対論を分野別に演習します。
収録問題数:80問。誤答時は全体解説に加え、各選択肢について「なぜ正しい/誤りか」を国家試験レベルで確認できます。計算問題では公式と単位換算も表示します。
放射線物理学 A. 種類と性質クエスト
北島先生からの挑戦状
電離・非電離、直接・間接電離、電磁放射線、粒子放射線、スペクトル、光子計算、相対論までを、国家試験が解ける順番で整理します。
学習のゴール
この範囲は、暗記だけに見えて「分類の軸」を取り違えると一気に失点します。まず、①電離するか、②荷電粒子か、③電磁波か粒子か、④線スペクトルか連続スペクトルか、⑤式で計算する問題か、の順に見ます。
1.放射線の分類は3つの軸で考える
第1の軸:電離放射線か、非電離放射線か。
電離放射線は物質中で原子・分子を電離できる放射線です。α線、β線、電子線、陽子線、炭素線、X線、γ線、中性子線が代表です。非電離放射線は、通常は原子を直接電離するほどのエネルギーをもたない放射線で、可視光線、赤外線、マイクロ波、ラジオ波、超音波などです。MRIのRF、超音波、マイクロ波は非電離側として判断します。
第2の軸:直接電離か、間接電離か。
直接電離放射線は、荷電粒子そのものが物質中で電離を起こします。α線、β線、電子線、陽電子線、陽子線、重粒子線、δ線が代表です。間接電離放射線は、電荷をもたない放射線が二次電子や反跳陽子などを発生させ、その二次粒子が電離します。X線、γ線、中性子線が代表です。
第3の軸:電磁放射線か、粒子放射線か。
X線とγ線は電磁放射線です。α線、β線、電子線、陽子線、中性子線は粒子放射線です。ここで大事なのは、γ線は電離性をもつ電磁波ですが、荷電粒子ではないため直接電離放射線ではない、という点です。
2.スペクトルの見分け方
| 分類 | 代表例 | 覚え方 |
|---|
| 線スペクトル | 特性X線、γ線、消滅放射線、内部転換電子、オージェ電子 | 原子・核の準位差などにより、特定エネルギーになる。 |
| 連続スペクトル | β線、β⁺線、制動X線、コンプトン反跳電子 | エネルギーの分配や散乱角の違いにより連続的になる。 |
特に混同しやすいのは、β線は連続スペクトル、内部転換電子・オージェ電子は線スペクトルという点です。電子だから全部連続、という考え方は危険です。
3.中性子の頻出ポイント
中性子は電荷をもたないため、クーロン力で軌道電子を直接電離しません。そのため直接電離放射線ではなく、反跳陽子などを介する間接電離放射線です。自由中性子はβ⁻壊変します。²⁵²Cfは自発核分裂により中性子を放出する代表的な線源です。熱中性子の代表的エネルギーは常温で約0.025 eVで、速度分布はマクスウェル・ボルツマン分布として扱います。減速には水素を多く含む物質が有効です。
4.電磁波と光子の公式
基本式
c = λν、E = hν = hc/λ、E[eV] = 1240/λ[nm]。波長が短いほど周波数は高く、光子エネルギーも大きくなります。おおまかなエネルギー順は、γ線・X線 > 紫外線 > 可視光線 > 赤外線 > マイクロ波 > ラジオ波です。
| 定数・換算 | 使い方 |
|---|
| 1 eV = 1.6×10⁻¹⁹ J | JとeVの変換 |
| h = 6.6×10⁻³⁴ J s | 光子エネルギー計算 |
| c = 3.0×10⁸ m/s | 波長・周波数計算 |
| 1 nm = 10⁻⁹ m | 波長単位の変換 |
| 1 MeV = 10⁶ eV | 511 keV = 0.511 MeV |
5.粒子放射線の静止エネルギー
| 粒子 | 電荷 | 静止エネルギー | ポイント |
|---|
| 電子 | −e | 0.511 MeV | β⁻線、δ線の本体 |
| 陽電子 | +e | 0.511 MeV | 電子と対消滅し511 keV光子を2本出す |
| 陽子 | +e | 約938 MeV | 重荷電粒子として扱う |
| 中性子 | 0 | 約939〜940 MeV | 非荷電、自由中性子はβ⁻壊変 |
| α粒子 | +2e | 約3727 MeV | He原子核、電離作用が強い |
6.相対論と加速の考え方
相対論の基本
E₀=m₀c²、E=γm₀c²、K=(γ−1)m₀c²、γ=1/√(1−v²/c²)。v=0.8cならγ≒1.67、v=0.98cならγ≒5です。
同じ電位差で加速したとき
K=qVです。電子・陽子・陽電子は電荷の大きさがeなので、同じ電位差なら同じ運動エネルギーを得ます。α粒子は+2eなので、同じ電位差では陽子の2倍の運動エネルギーを得ます。
同じ速さの粒子を比べるとき
非相対論的にはK=1/2mv²です。速さが同じなら、運動エネルギーは質量に比例します。α粒子の質量は陽子の約4倍なので、同じ速さならα粒子の運動エネルギーは陽子の約4倍です。
7.試験直前チェック
X線・γ線は電磁放射線であり間接電離放射線。α線・β線・電子線・陽子線・δ線は直接電離放射線。中性子線は非荷電だが電離性をもち、間接電離放射線。マイクロ波・赤外線・可視光線・超音波は非電離放射線。β線と制動X線は連続スペクトル。特性X線・γ線・消滅光子・内部転換電子・オージェ電子は線スペクトル。電子の静止エネルギーは0.511 MeV、陽子・中性子は約940 MeV。